「五感経営 産廃会社の娘、逆転を語る」を読んで「やっぱり理念大事やな」って思った話

ええ本、貸してもらいました。
産廃会社の娘(2代目)の経営の話です。悔しさや誠実さ、強い決意と覚悟が伝わってきて、ちょっと泣きそうになったり、応援しちゃうストーリー。
この本をチョイスした人をまたちょっと好きになりましたw

そして「五感経営」という言葉のイメージとはウラハラに、論理的・戦略的な経営術にシゴトのヒントが山盛りで、経営者やフリーランス、会社員、働く全ての人にオススメしたい一冊です。

五感経営 産廃会社の娘、逆転を語る

著者は初代社長の「五感を研ぎ澄ませ」というコトバに沿ってフル稼働で得た学びを会社の仕組みに落とし込んだ。その経営に対する考え方をまとめた、とのことで、CSVから戦略、人材教育にコミュニケーションまで、どんな分野の経営者にも必要なヒントが詰まっていました。
※CSV:社会の課題解決と企業の競争力向上を同時に実現する、共通価値の創造

この本から、読んで良かったと思ったところ、活かしていきたいと思った所を紹介します。

第1章 CSV編

ダイオキシン問題が加熱した時代の産廃会社。多額の費用を投じダイオキシン対策を施した焼却炉を導入していたにも関わらず、住民の激しい突き上げなどの逆風の真っ只中、志願しての就任となった石坂典子社長。

環境汚染の発生源という汚名を晴らすべく、ホタルを育てて「環境は汚染されていなかった」と証明したが、事実をふりかざしても閉ざされた地域住民の心は開けなかったとのこと。

地域に愛される会社にしよう、という理念のもと、売上の7割を失ってでも焼却炉を廃炉にするという英断、そして本質的な解決のために県に働きかけて、スピーディーにリサイクル事業をメインとしたそうです。

ネガティブなイメージを払拭して地域から愛されるいい会社にするために、ゴミ拾いをしても、翌朝には道路にゴミが捨てられている。
なんだかゴミを捨ててもよさそうな雰囲気を醸す広大な雑木林。
なぜなぜ、とどんどん歴史まで遡り原因を追求し、里山のようなさわやかな森林に変えていくことまでし、ようやく評判が上がってきたということです。

本質的な解決についてこう記されています。

必ず誰かがしなくてはならない仕事なら、その存在を認めてもらう必要がある。価値ある仕事として評価され、働く人が誇りを抱ける仕事に変えなければなりません。

必ず誰かがしなくてはならない仕事なら、その存在を認めてもらう必要があります。

「ホタルが育ったから無実だった!」という思いつきでは共感が得られなかったが、それをスタートに「なぜ」を繰り返し、地域の歴史をさかのぼって里山保全という抜本的な問題解決をしたときに「いいね」が集まりはじめたということです。

本質を掘り下げるチカラから、CSVが逆境のさなかに誕生する。。。すごいですね。

第2章 リーダーシップ編

石坂技塾は社員に学ばせる50講座があり、年間10講座の受講を推奨しているとのこと。

教えさせることが目的のこの塾は社員が講師となるそうです。「教えること」が「最高の学び」となる。そのように、良いフィードバックを社内の至る所に良い循環として巡らせた結果、自立したリーダーがどんどん生まれご活躍されています。

未経験でも成長できる環境がある、情報を伝えるツールがしっかりしている。どの企業もわかっているけど難しいと頭を抱えているものですが、社長自らが先代とのコミュニケーションを効率よく濃密にやってきたからこその土壌だなと思いました。

第3章 競争戦略編

根拠のない安売りをしない姿勢を貫いてきたという石坂社長。

業界に入った時には、モノを見る前(どころか発生する前)に価格が決められることに驚いた。ざっくり言うとこの料金が決まると結局は使い放題プランで、これを続ければお客様(解体業者)の質も低下する。業界の負の連鎖だと、危機感を感じたそうです。

逆境で立て直しが急務だった頃、技術的な難易度が高い(需要ひっ迫)分野に特化し、価格の主導権を握れる土俵を選んだ社長。

そこで、不当な金額で請けないための透明性の高い仕組みを浸透させたそうです。(強気に出て大丈夫か、との声もあったが、お客様がしっかり分別していれば安くなる、公平な仕組み)

業界の慣習に流されずに、是正するところはして、ステークホルダーみんながハッピーなシステムを作りました(しかも技術的に難易度が高い)。
とても骨の折れることだったでしょうけれども、素晴らしいなと思いました。

第5章 キャリアアップ編

伝票をFAXするという本来お客様でしていただきたい作業を、長年サービスでしていたが、相手は「やってもらって当たり前」か、それ以上になってしまった。
ずっと続けてきたこのサービスを断るようにして、一転して搬入の運転手さんに冷えたジュースを渡すなどのサービスはどんどん強化。
同じ顧客サービス。
でも決定的な違いはお客様に感謝の気持ちがあったかということ。

商売は持ちつ持たれつです。「あなたがこういうことをしてくれて助かっているから、私はこうしてあげるわ」という関係が成り立たないならば無料のサービスを続ける価値はありません。そういうサービスを当たり前のように提供し続けることは、自分立ちの仕事を貶める行為です、働く人の尊厳を傷つけます。

これ、クリエイター業界にもあることではないでしょうか(特にデビューして初期のころ)
クライアントさんのついでの要望に「まぁちょっとだし」と思ってついでにした「手間」が相手には伝わらず、しかも常態化して身動き取れないという状況、よく耳にします(自分も経験があります)

持ちつ持たれつができないお客様に、安価(もしくは無料)で尽くす価値はないと感じていましたが、その気持ちをすっきり文章にまとめてもらって、とても共感し、尊敬しました。

ちなみに第3章のタイトルは「値決めは経営。安売りは断固、拒否します!」なんです。5章を読んでから3章のタイトルを見ると、さらなる重みを感じます。

最後に

本を読んで気になったことをつらつらと並べましたが、多くのビジネス書の鍵となる部分をギュッと凝縮して、石坂社長のストーリーでしっかり学べるような本でした。
読んでてハラハラして、悔しくて、成功した時にはガッツポーズを一緒にしてるような気持ちで読みました。

石坂社長の、理念を大切にして本質をつきとめる努力や、覚悟を伴う決断や行動力はすさまじいものです。
見た目も美しい方ですが、その生きザマがきらめいています。

エピローグ部分では「私は私にできることをしているだけ」と言うハチドリ、クリキンディの物語が紹介されると共に、海外への展開と会社の長期的発展を踏まえた事業継承についても触れられました。
長期思考と行動力、何もかもに感服です。今後のますますの発展を本当に楽しみに、著者石坂社長を応援していきたいと思う一冊でした。

そして「自分が出してるゴミについて」も同時に考えた一冊でした。せめてエコバッグ持ち歩きます。